人生はなんて不公平なんだろう。


美香を見るたび、いつも胸が痛くなる。


セレブの美香は、間違いなくカーストのトップだった。


たった1人、頂点に立つ女王様。


モデルをしているまどかより、すべてにおいて秀でていた。


「なにしてるの?」


でもその声には、嫌悪感が含まれている。


「ちょっと夕子にメイクしてあげてたの」


それまで自信に満ち溢れていたまどかが、美香の前では色褪せて見えた。


「美香ちゃんも動画、見る?」


カンナもどこか気遣っている。


そして美香が、私のことを見て目を細めて言った。


「──もう死ねば?」


それはまるで、ミミズを見下ろす目だ。


「視界にも入ってきてほしくない。あんた見てると目が潰れる」


「……ごめん、なさい」


「喋るなって。耳も腐るんだよ」


女王様の言葉は『絶対』だった。


「だよね?息もするなって感じ」


まどかがまた私を小突く。


「じゃ、今度はメイク落とそうよ!」


カンナに腕を痛いくらい掴まれ、連行されるように教室から連れ出される。


悪いことなんかしていないのに。


私は、なにも悪くないのに。