「はい、できたー!」


手を叩いて喜ぶまどかは、そのうちお腹を抱えて笑い出した。


「ちょっと、軽い化け物なんですけど!」


同じく笑うカンナは、それでも私を撮るのをやめない。


クラス全員が、私のことを笑っていた。


カースト底辺のわたし──奥村夕子を。


教室はピラミッドだ。


頂点に君臨するのはひと握りの生徒。


決して痛めつけられることも、理不尽に笑われることもない。


愚民を見下ろし、踏みつける。


それを中心に、どんどん広がっていくカーストの構図。


上でも下でもない、安定の真ん中。


そしてその下に、すべてを支える底辺が這いつくばっている。


決して這い上がることができない、家畜だ。


逆らうことが許されず、なすがままの地獄。


「お願い、もうやめて…」


笑い声が大きくなるほど、体の震えも大きくなっていく。


「泣いたってムダだから!」


まどかが、私の頭を小突いた。


「涙でさらにモンスター化してんじゃん!」


スマホを手にしたカンナが喜んでいる。


その時、カーストトップに属する2人が一瞬、止まった。


城崎美香だ。