「なんで生きてるの?」


美香が私に尋ねる。


お前はどうして生きているのか?と。


どうして死なないのか?と。


這いつくばる人生でどうして死なずにいられるのか?と。


それは、とても純粋な問いかけだった。


本当に美香は分からないんだ。


その証拠に、その目に浮かぶのは悪意ではなく、答えが知りたい子どもの瞳。


「どうして死なずにいられるの?」


きっと美香なら死んでいるのだろう。


美香が私なら、すぐに自殺している。


それじゃ、私が美香ならどうだろう?


もし美香と入れかわるなら。


この美しさが手に入るなら──。


「私が手伝ってやるよ!」


甘い妄想は、まどかの声によって打ち破られた。


「ジャーン!」と取り出したのは、ハサミだ。


「や、やめっ…」


「はいはい、逃げない」


カンナにもがっしりと抑え込まれ、身動きが取れない。


「そんなに怖がらなくてもいいって。いくらなんでも殺しはしないから」


そう言って、まどかが軽く笑う。


シャキンとハサミの音をさせ、刃先を私の髪の毛に──。


「か、髪はやめてっ。お願い、髪の毛だけは…」


「やめなーい!」


ザクリと、髪を切り落とされた。