気がついたら、私は病院のベッドの上だった。
おぞましい男に犯され、夕子の母親に殴られて、体が焼けるように熱くなったのは覚えている。
まさか、本当に火事になったなんて…。
包帯でぐるぐる巻きにされた顔が、じくじくと痛む。
まるで、ウジ虫が顔を這い回っているかのように痒くて仕方がない。
「現場から走り去っていく、制服を着た女に見覚えは?」
刑事に問いかけられたが、私は首を振った。
きっと夕子に違いない。
あの女が、私を殺そうとしたんだ。
そうすれば、元に戻る必要がないから…。
でも、私が美香だと訴えたところで、誰が信じるだろう。
それどころか、美香そのものが捕まってしまう。
それは本意ではなく、あくまで私は自分の体を取り戻したい。
それにはまず、私と入れかわった夕子を捕まえないと。
どうやって捕まえ、懲らしめ、いびり倒すか考えていると──病室のドアが開いた。
まだ首を動かすこともできず、起き上がることも立ち上がることも…まずは体力を回復させてから、やり返してやろう。
「お見舞いに来たの」
そう言って私の顔を覗き込んだのは、夕子だった。