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アパートがめらめらと燃えている。


ドアに挟んだつっかい棒も、きっと跡形もなく燃え散るだろう。


私は、あの女の娘だ。


親は選ぶことができなくても、娘であったのには変わりがない。


だから、その習性をよく知っていた。


パチンコで負けると気が荒くなり、余計に酒に溺れること。


私とぶつかって金をたかり、きっと酒とタバコを買い込むだろう。


あそこに住んでいた時、何度もボヤを出した。


すべてが、タバコの不始末だ。


今回はそれがボヤでおさまらず、全焼しただけのこと。


ちゃんと、タバコに火をつけてから放った。


ちょうどあの男も中で逃げ遅れたに違いない。


「さようなら、お母さん」


なんの未練もない。


私を産み落としただけの、ただの女。


ついでにこれで夕子のことも消し去ることができた。


もう私のことを脅かすものはいない。


誰かに疑われたって、それを証明する夕子はもう居ないんだ。


これから私はずっと、城崎美香として生きていく。


せっかく手に入れたカーストを、絶対に手放さないから…。


でも、まだ復讐は終わっていない。


あと少し、あと少しで終わる。