タバコと酒をたんまり買い込んで、アパートに帰る。


ドアを開けると、男のいびきが盛大に聞こえてきた。


どうやら、事は終わったようだ。


キッチンで酒をラッパ飲みしながらタバコを吹かしていると、奥の襖が開く。


夕子が、死んだような目をして立っている。


ところどころ痣が見えるのは、殴られたからだろう。


「馬鹿だね。抵抗しなきゃ優しくしてもらえたのに」


あたしが鼻で笑うと、事もあろうに夕子が殴りかかってくる。


「あんた、それでも母親なの!?」


と。


「ガキは親の言うこときいてりゃいいんだよ!」


「信じられない…この毒親!」


夕子が掴みかかってくる。


「誰がここまで大きくしてやったと思ってんだよ!」


「うるさい!」


物凄い力で殴りつけてくるので、思わず床に転がっていた酒びんをつかんで振り下ろす。


ごんっ。


鈍い音がしたかと思うと、夕子が床に倒れて動かなくなった。


「…ちょっと?」


さすがに怖くなって揺さぶると、どうやら気絶しただけのようだ。


「驚かせやがって!」


足で小突いて、倒れた娘を肴に酒をあおった。


なにもかも忘れたくて浴びるように飲み干し、気づけばあたしは深い眠りに引き込まれて──。