「えっ…誰?」


「なんだよ、水臭い」


そう言って男は、黄ばんだ歯を見せて笑った。


カチッと、後ろ手に鍵をしめながら…。


「な、なんなの!?入ってこないで!」


「そっちから誘ってきたんだろ?」


「わ、私は知らない…誘ってなんか!」


迫ってくる男に合わせて、じりじりと後ずさる。


「なんだよ、つれないなぁ」


「来ないでって言ってるでしょ!?」


脇を通り抜けようと駆け出したが、あっさり手首を掴まれてしまう。


「離してっ!」


力の限り暴れると、腕が離れた拍子に男の顎に当たった。


「てめぇー!」


ガンっ!


拳骨で横っ面を殴られ、目の前が真っ暗になる。


そのまま制服を引き裂かれて、床に組み敷かれた。


「や、やめて!」


「やめねーよ!」


男の手が下着を剥ぎ取り、ズボンのベルトを外す音が──。


「い、嫌っ!」


「ほら、俺がたっぷり教えてやるよ!」


臭い息が頬を撫で、男の舌が私を舐めまわす。


「いやぁあああー!」


「黙れよ!」


平手打ちされ、また意識が飛んでいく。


「そうだよ、おとなしくしてりゃいいんだよ」


男の下世話な笑い声が、どこか遠くから聞こえていた…。