「早く元に戻しなさいよ!」


「そ、それは無理なの。あ、アパートに行かないと」


「アパート!?」


「入れかわったと同じ状況じゃないとダメなの!だからあなたはアパートに行って、私は家に…」


「ふざけるんじゃないわよ!このまま逃がすとでも思ってるの?」


「でもそうしないと元に戻れないの!」


夕子の言葉に、うそはないように思えた。


思わず舌打ちが出る。


「どうやって入れかわったの?」


「それは…そういうアプリがあって。元に戻るのも、同じ状況でアプリを起動させないといけない。だからアパートに──」


「もしウソなら殺す」


「ウソじゃない!」


「もし元に戻ってなかったら、どこまでも追いかけて殺すから。いい?私は本気よ」


念を押して、夕子を解放する。


今日の夜に、再び入れかわることを約束させて──。


アパートに帰り、元に戻るのを待った。


もし夕子が裏切るなら、本当に殺してやる。


でも、涙を流すほど怯えていたし、言うことをきくだろう。


元に戻ったら再び、いじめていじめていじめ抜いてやるんだ。


今度こそ、自殺に追い込んで──。


がちゃ。


乱暴にドアが開くと、見知らぬ小太りの男が立っていた。