今日も放課後、カラオケボックスに向かう。


モデルの仕事はほとんどないけど、この歌の動画が評判がいい。


もしかしたら、歌手の道が開けるかもしれない。


うまくいけば、美香なんて軽く追い抜くことができる。


私だって、女優顔負けの美人なんだ。


「なに歌おうかなー?」


スマホで曲を検索していると、いきなりドアが開いた。


「…まどか?」


そこに現れたのは──。


「えっ、夕子?」


「まどか、私は夕子じゃない。美香なの!」


「はぁー!?あんたまだそんなこと──」


マイクで殴りつけてやろうとしたが、次の瞬間、私は固まった。


「ピアスくれたよね!?」


「ピアス?」


「そう!同じクラスになった時、私がまどかのピアスを褒めたら、お揃いのやつ買ってきてプレゼントしてくれたでしょ?」


「…あんた、なんでそれを?」


「だから私が美香なの!信じて!」


夕子が、私の腕を掴んで揺さぶる。


「でも、プレゼントしたところをあんたが見ていただけかも」


「まどか、田辺先生が好きでしょ?」


「えっ…!」


「私にだけ打ち明けてくれたじゃない!先生に告白するって。どうやったらいいかって相談してくれたじゃない!?」