結城くんと青春したい!



手に冷えたフルーツ牛乳のパックを持って教室のドアを開ける。

なんとなく飲み始められなくてそのまま持って帰ってきちゃった。

「真緒、おかえりー」
「どした?なんか魂抜けてない?」

3人はまだ机をくっつけたまま話をしていて、

「なにかあった?」
私が席に合流すると隣に座る瑠宇が顔を覗き込んできた。

定まらない目線で
「……あー、なんか、結城くんが告白されてるところみちゃった」
とだけ言うと

「おおー、結城くんってやっぱり人気なんだ」
なんて、本人が近くにいないことを確認しながら栞が面白がっている顔でそう言った。

「おっけーしてた?てか彼女いないんだっけ」

と興味がありそうな栞に

「なんか、めっちゃ冷たく断ってた」
と伝えると

「なんだー」と一気につまらなそうな顔に。

「冷たく断ってるところ、想像つくなー。
彼女いるって話も聞かないよね」

楓花はそこまで関心がないような感じで、スマホを触りながら返事をした。

「彼女いたとしても誰も聞いたことないのかも
特定の誰かと仲良くしてる印象ないし……」

瑠宇のひとことに
さっきの非情な告白シーンを思い返し私もみんなと一緒に同意した。

あの様子だとあんまり恋愛に興味があるようには見えないしね。


「それよりさ――」

残り15分の貴重な昼休み
結城くんの告白現場目撃の話は広がらず、
早いテンポで簡単に他の話題へ。

私は話半分という感じでみんなの会話に相槌を打ちながら
頭では引き続き結城くんに思考が占領されていた。


朝のあいさつとかは普通に返してくれるけど
でも逆に言うと私もあいさつ以外で話したことないかも、なんて。

あんなところを見ちゃったからか、結城くんのことが頭から離れない。


告白していた女の子は結城くんのどこに惹かれたんだろう。

誰なのかまでは後ろ姿じゃわからなかったけど、
上履きの色的に同じ2年生で、でも別のクラスだと思う。

私が知らないだけで実はあの子と仲良くて結城くんは結構交友関係広かったり?
もしくはあの子自身そっけない感じの人がタイプ、とか。

単にイケメンだから!っていうこともあり得るかもしれない。
外見が好みっていう個人的な価値観によってドキッとしてしまう感情には抗えないよね。
それが人としても好きになれるかは別として、
私もああいう涼し気なイケメンって視界に入るだけで多少キュンとするし。


考えながらぼーっとしていると開けっ放しのドアから結城くんが教室に入ってきたのに気づいて
何故か恥ずかしくなって無理やり目の前の話題に入った。


そのまま昼休みは終わって午後の授業に。