タイミングを見て美術室に戻ると
程なくして終わりのチャイムが鳴った。
授業が終わり美術室を出ようとして、腕から抜け落ちてしまったスケッチブックを誰かが拾ってくれる。
「うわっ……あ、結城くん!ありがとう!」
「ううん、昼食、どこで食べようか」
拾ってもらったスケッチブックを受け取ると横から楓花が私たちを抜いていく。
「じゃあ私、先に戻って瑠宇と栞に
真緒はやっぱり結城くんと食べるって伝えておくよ」
「わぁーありがとうー」
気を使って先に教室へ戻って説明をしてくれるらしい楓花。
私たちのいきさつを聞きたがっている2人には
今日のところは事情を知ってくれてる楓花が誤魔化したバージョンの理由を話してくれるらしい。
栞はリアクションが大きいだろうし、
教室で話したりなんかしたら周りも誰か聞いてるかもしれないから
2人にはもう少し色々落ち着いたら本当のことを話したいと思って。
「もう施錠しちゃうよ、2人も教室戻りなさい」
ぼーっと考え中の私と
それをじっと待つ結城くんを不思議そうに見た先生に
退室を促されてとりあえず廊下へ出る。
「あー、どうしよっか、
結城くんってお昼いつもどこで食べてるの?」
「弁当を持たせてもらってる日は教室で食べたり、
たまに食堂でも食べるよ」
私は基本的に4人で教室で食べてるけど、
結城くんが教室で食べてるイメージないなぁ
「じゃあ基本的には教室に?」
「うん、けど……」
そこまで言うと少しまわりを警戒してから
「昨日みたいにどこか呼ばれたりとかすると、
教室でゆっくり食べるって出来ない日も……」
なるほど。
「ちなみに今日の結城くんの元々の予定は?」
「弁当があるから、教室の予定だったけど……」
そんなやり取りをしながら教室に戻るとにやけ顔の栞と瑠宇。
「いいの、いいのよ!
私たちとは今まで毎日一緒に食べてたもんね」
世話焼きおばさんみたいな口調の栞に、
そういうノリがわからないだろう結城くんが頭にはてなマークを浮かべている。
栞と瑠宇の後ろでは、
一応軽く説明したけど、と楓花が表情で訴えていた。
「もうー……そんな大事な話じゃないと思うんだけどなぁ」
このにやにやモードのみんなや
今日一日集まってしまう視線の中で
ゆっくりご飯を食べようとするのは居心地が相当悪いだろうと予測して、
教室を出て外で食べるよう提案する。
何も言わず頷いた結城くんが私の後を追って教室を出た。
何人か彼に話しかけようとしてた子がいたみたいだけど、
私が横に並ぶことでちょっと牽制出来たかな。
もしかしたら朝のように他クラスからギャラリーがくるかもしれないから
外で食べようという提案は我ながらこれで正解だったと思う。

