まずい、そうだ口裏を合わせておかないと
結城くんのことだから
昨日のいきさつをそのまま話しちゃうだろう。
結城くんが呼ばれたことに反応して後ろに振り返ると
囲んでいた何人かもつられてこちらをみる。
言葉にストップをかけるためだけに話しかけたうえに視線を集めちゃった……。
どうしよう、言葉を中断させたかっただけで
話したい内容なんて――……
「今日お昼!一緒に食べよう!?」
咄嗟に思いついた適当なことをそのまま口に出すと
「めっちゃ積極的じゃん」面白がっているような男子と
ぼそっと「いいなー」なんて言う女子と、
凄いカオスな空間に。
「……はい」
それをものともしない結城くんの返事。
付き合った理由の会話から意識をそらせてよかった。
「ま、また後で場所とか……決めよう!」
まだヒヤッとした緊張が完全にはとけなくてぎこちなく笑っていると
楓花に引っ張られて美術室の中へ。
「ちょっと真緒、
昼休みは私たちに昨日の詳細を聞かせてくれるんじゃなかったの」
ぎくりとして
「えーっと……」
へらっと笑うことしかできない私に
「絶対何か隠してるでしょ」
楓花の鋭い指摘が刺さり、
観念して本当のことを話すことに。
今日の美術の授業は各自校内をデッサンするという内容のため少しの雑談なら平気な空気。
周りに人のいない場所を選んで、
適当な線をスケッチブックに引きながらも楓花に少しずつ説明する。
「――とまぁ、そういうことでして」
「……なるほどね」
話し終わると
「確かに周りには元々好きだったから告白したって言った方がいいかもね」
と勧められる。
「真緒の割に慎重な判断にびっくり」なんて、ちょっと楓花さん失礼じゃないですか。
けど確かに私だけじゃ思いつかなかったのも事実で。
桐島の案であることを告げる。
「まあた面倒な状況だね」と呆れられ、
「桐島なら他言しないはずだから大丈夫!」と答えたけど、
「そういうことじゃないデス」なんて言って詳しくは教えてくれなかった。

