結城くんと青春したい!



周りで響く色んな女子の阿鼻叫喚に訳が分から無さそうに少し驚きつつ、
辺りがうるさいからか結城くんは私により近づいて話しかける。

「何か用事があったのに引き留めちゃったらごめん」

「あ、ううん、用があったわけじゃなくて……」

え、あの子が?という視線がびしばし向けられている気がする。

けど予鈴のおかげで
廊下にいた他クラス、他学年の人たちは
「どういうこと?」と
後ろ髪を引かれながらも渋々と帰っていった。

私もこの場から離れようと思い
恐る恐る後ろを振り返ると
驚くクラスメイト達の中に当然楓花達もいて、

「ちょっと真緒??」と話しかけられそうになったところで
担任が入ってきて急いで各々席に着く。

ただそれで終わるわけがなく、
スカートのポケットに入っていたスマホが何度も震える。

ホーム画面に4人のグループから通知が次々入り
「後で詳しく!!!!」
とそれぞれが発言しているようだった。

これは……なんて説明しようかな。


担任のホームルームも話半分に悩んでいると

「結城とガチで付き合い始めたの?」

先生がプリントを配りはじめた瞬間、桐島から声がかかる。

横顔しか見えないからわかりづらいけどいつもより表情が硬い様子で、
何かにムッとしているように見える……。

桐島?

その様子が気になって返事が出来ないでいると
さっきの質問に肯定したととらえたのか
「好きな奴いると思わなかったからびっくりしたけど、よかったな」
なんて。

『よかったな』なんていう割にあんまりそう思ってるような雰囲気に見えない。

なんか素直に喜ぶっていう流れじゃないよね。

「いやっ、好きとかそういうわけじゃ――」

「え……」

慌ててこちらを向いた桐島から怪訝な目が向けられるも
再び先生が話し始めたため会話が中断される。

醸し出されるどんよりした空気に飲まれて咄嗟に否定してしまった。

んー、なんか今の言っちゃいけなかった、かも?

落ち着かなくて前髪を直していると
再び桐島が少し椅子を引いて話しかけてくる。

「好きとかじゃ――ってなに?」

小さい声ではあるものの声に出して聞いてくるのは、
いつもこういう時無理なペースで会話を続けたりしない桐島らしくないな。

しかもこの件に関しては誰かが聞いているようなところでは声に出したくなくて、
机の下で握ったスマホに視線を誘導して、メッセージを送ることを示唆する。

履歴から名前を探して

『桐島秋史(きりしまあきふみ)』

数週間前少し漫画の画像を送り合った以来のトーク画面を開く。

先生にスマホの操作がバレないように頑張って昨日のことを簡潔に伝えると
通知に気づいた桐島はすぐに読んだ後に何かを打ちだした。