結城くんと青春したい!



――朝起きてから、
昨日のことは夢だったんじゃないか、なんて

スマホの画面に新しい通知がないことを確認してため息がでる。

実は昨日お茶をしていた時、
計画を立てながらお互い連絡先を交換していたんだ。

帰り際、注目を浴びるまいと慌てて解散したことも謝りたかったし
家に着いてから改めて挨拶的なメッセージを送ったけど
一晩経っても返事はなかった……。

どうしよう、1人になった後冷静になって
おかしなことに巻き込まれたかも、とか
やっぱりこの話はなかったことになんて思ってたら!!

いやいや、それこそお家のお手伝いとか、
何か忙しかったのかもだし。

結局どうしたって学校に行ったら
結城くんの態度次第で色々分かるよね。

顔を合わせたいような、合わせたくないような気持ちで
いつもより登校へのモチベが低いまま学校を目指した。


道中結城くんに会うこともなく、教室までの廊下を歩く。

そりゃそうか、結城くんは大抵私より早く来ているし
だからいつもドアを開けてすぐそこの席の彼に挨拶していたんだもんね。

ってことは開いているドアをくぐったら
すぐに結城くんがいるってことだ。

私を見てどんな反応があるだろう……!

他のクラスの人がドアのところにやたらいたけど
うちのクラスの誰かに会いにきているのかな、
と横目に見て
ええいっ!と教室に入ると、
なんと結城くんの席に彼の姿はまだなかった。


あれ……?
珍しく、まだ来てない?


席の前で少しの間かたまっていると
「あ、真緒ー!」
栞が私を呼ぶ声が聞こえた。


ん?とそっちに顔を向けると、
栞は私の方へ席を立って歩き出した。

楓花ももう来ていたみたいだけど、
栞だけがこっちにきたため私は一旦自分の席へ鞄を置きに足を進め、
それを察した栞も私の席へ方向転換をした。

「真緒!おはよー!!」
「おはよ!」

鞄を置いたと同時に
「やっぱり真緒も気になった?」
とこっそり耳打ちされる。

「え、なにが?」
全く見当のつかない質問に首を傾けると、

「結城くんのこと!今席見てなかった?」
結城くんの席を見ていたことがバレていたことに驚き慌てて栞を見た。

「えっ!なんのこと!」
苦しまぎれに誤魔化すと
にやけ顔の栞が私を楓花が座る窓際の席の方へ引っ張った。


「真緒おはようー」「おはよ、楓花」

楓花は私と栞の様子を見て、状況を察したように口を開いた。

「まさか話してた昨日の今日でね」

それに合わせて栞は頷く。
瑠宇はまだ来ていないみたい。

1人状況についていけていない私は
「ごめん、全然状況を理解してないんだけど、どゆこと?」

2人の会話を遮って尋ねる。

「あれ、だから見てたんじゃないの?
結城くんの席!」

「ゆ、結城くん!?」

改めて名前が出てどきんとする。

さっきからどうして結城くんの名前が?


「そう、昨日彼女と駅前にいたって話題で今教室中持ち切り」


それを聞いて一気に体中汗が噴き出る。

「もしかしてそれで廊下に人多かったり
今教室ざわついてる?」

「ひゃっ!」

真後ろから声がして思いっきり跳ね上がると
今来たらしい瑠宇が立っていた。

「あー、瑠宇ー!」「おはようー」

2人が瑠宇に挨拶している傍ら
教室のざわつきに今さら気づいて見渡す。

昨日のはやっぱり夢じゃなかったんだ。

じわじわと実感が沸いてくる。

ってことは、私に詳しく聞くためにここに連れてきた!?

「結城くんの彼女ってさ――」

なんて説明したらいいんだろうとぐっと身構えると

「誰なんだろうね」


……へ?