結城くんと青春したい!



結城くんの後について歩くとあっという間に駅の改札の前に。

「じゃあ、また明日」

足を止めた結城くんを不思議に思い見上げると

「俺はバス通学なんだ」

ということはわざわざバス乗り場から反対なのにここまで送ってくれたんだ。


「え、なんかごめん、ありがとう……」

口元に力が入らずふにゃふにゃ伝えると

「ううん、全然問題ないよ。
彼氏ってよくわからないけど、少しでもそれっぽく振舞えたらいいなと思って」

改めて言われた『彼氏』というキーワードに反応して顔がものすごく熱くなる。


電車が到着したのか改札の内側から一気に人が出てくる。

おもむろに立ち止まっていた私たちは飲み込まれそうになって
ふと、結城くんが私の腕を優しくとり柱に寄せてくれた。

「人多いところで止まってごめん」
「う、ううん」

ほぼ壁ドンみたいな、
あと少しで密着しそうな距離に息をのむと同時に

恐らく部活終わりの同じ高校の人たちが
来ている電車に乗ろうと改札を通っていくのが結城くん越しに見えた。

あれ、なんかちらほら視線を感じる。


「え、あれって2年生のイケメンって言われてる……」

私は柱に寄りかかっていて結城くんが前にいるから顔は見えないけど
声が聞こえてくる。

もしかして、結城くんを知ってる人たちが
今周りに結構いる感じ??

「一緒にいるのってもしかして彼女?誰?」

知名度が流石というか、注目浴びてきてる!?


「お、送ってくれてありがとう!
電車来そうだから行くね、また明日ね!!」

視線に耐えきれず手を胸の前で左右に振って
結城くんから離れた。

その勢いのまま改札を通り、
せっかく送ってくれたのに失礼な態度だったかなと
階段を下りる前に最後振り返る。

そんな私に気づいたのか
わかりづらくほんの少し微笑む結城くんが軽く手を振ってくれた。

もうバス乗り場へ歩き出してしまっていたかと思ったのに。


小さく手振ってるの、ちょっと可愛いかも……。

私もホームへ向かう人の邪魔にならないように手を振り返して、
足早に階段を降りるとちょうど来た電車へ乗り込んだ。