結城くんと青春したい!



眉を思いっきりひそめたかと思いきや
その女の子は急に反対方向へ駆けだしてしまった。


どうしたんだろう。

「みき!?」

後ろにいた恐らく連れのグループの子たちも
さっきの子の動向に驚いているようだった。

なんとなくその場から動けないでいると

グループの何人かは走っていってしまった子を追いかけていき、
残ったうちの1人がこっちに進んでくる。

その表情は思いっきりこちらを睨みつけているように見える。


え、なんかこっちきてる!?


案の定私たちの目の前で止まり、口を開いた。

「びっくりさせてごめんだけど、
さっきの結城くんの振り方のせいでみきすごく傷ついてるから。

もっと優しい言い方あったんじゃないですか」

明らかな敵意、
自分ではなくその後ろの結城くんに向いている事がわかるのに、思わず慄く。

怖がる私にも鋭い視線が向けられ強張ると

後からもう1人来て、先に私たちに話しかけた子を制止する。

「やめとこ、私たちが今ここで揉めても意味ないよ
彼女さんも巻き込んでごめんなさい」

「あ、いえっ……!」

急に話しかけられうまく返事が出来ず、結城くんも何も言葉を発しない。
結局その子たちはお店には入らずどこかへ歩き出した。


さっき振った、というワードで、
最初に走っていった子が昼休み結城くんに告白していた子だと予想する。


私が彼女だなんてなにか勘違いさせちゃったし、
昼休みのあの
『意味がわからない』って返事は恐らく誤解だったのに。

「び、びっくりしたね……
しかも私は彼女じゃないし、
昼休みの告白の返事も恐らく捉えてる意味が違うだろうし、誤解解いた方がいいよね!」

まだ追いつける距離にいるあの子達を追いかけようとして、
店を出てあの人たちが渡った信号の方へ。

だけど追いかけてきた結城くんに掴まれ鞄の持ち手が再びピンと伸びて足が止まった。

「大丈夫、よく誤解されるし慣れてる……」

明らかに大丈夫そうではない顔で私を行かせまいと手を離さない結城くん。

「でも……」

「多分、俺の何かしらが原因だから……、
今追いかけても恐らく余計に怒らせると思う。
今までもそうだった」

これまでの行動全部悪意のない結城くんからしたら
どうしてああいう風に責められちゃうのかわからないんだろうな。

「結城くん……」
かける言葉が見つからずただただ名前を呼ぶと、
俯いていた顔をあげて見つめられる。


「それに、もし追いかけても結局あの子の思いに応えられるわけじゃないから。

瀬崎さんが俺の彼女なのは誤解じゃないでしょ」


一瞬聞き間違えかと思い激しく瞬きをすると

「瀬崎さんが彼氏と叶えたい理想を俺が叶えるってことは
俺は彼氏であるべきで、

瀬崎さんは俺の彼女、ってことだよね」