結城くんと青春したい!



お互い無言のまま

ドリンクカップの蓋をあけて入れたミルクとガムシロをストローでかき混ぜる。


くるくるミルクが混ざる様子を手持ち無沙汰気味に眺めているのにも限界で
しびれをきらして声をかける。


「ということで、『放課後カフェに行く』っていうのをやってみたわけなんですが……」

そう言ってちらっと目の前の結城くんに顔を向けると

「うん。楽しい」

まっすぐこちらを見ていて、
急な至近距離のイケメンに視界がチカッとする。


次の言葉に詰まっていると、

「さっき瀬崎さん他にも言っていたよね、やりたいこと」

きらきらした目が私を追求する。

さっきは勢いで口にできたけど、
冷静さを取り戻した今は彼の視線から逃げるように再びドリンクを意味もなくかき混ぜながら話し始める。

「え、えっと、

放課後のカフェっていうのも実はもっとおしゃれなところに行ってみたくて、

後は夜寝る前に電話したり、とか――」


……ってそうじゃなくて!、
私と君の関係性ってなんなんでしょうか!!

なんとなく放課後お茶をすることに付き合えって頼んだということになっちゃって、
乗り気な結城くんが面白いから流れに流され今に至るわけだけど。

もしさっきの『青春の疑似体験』に引き続き付き合ってくれるとなると
それはもう今日だけで終わる話じゃなくなるよね。

結城くんはそれについてどう思っているのか
はっきり聞くのも阻まれて歯切れが悪く口ごもると、

授業を聞いていたみたいな結城くんが

うん、と大きく頷いて


「じゃあどれからやろうか」


なんて。


私はいつか彼氏とやってみたいこと、

としてとりあえず好きな漫画のシーンを思い出しながら話していたんだけど、

この人はどういうつもりでそれらをやろうとしてるのかな。


様子見として、
一旦突っ込むのはやめて会話の流れに身を任せてみる。

「先ず、俺は部活に入っていないし、
用事がある日以外は放課後空いてる。

一緒に帰れる日になるべくそれらを体験していけたらと思う。

夜の電話、っていうのは……、
用事があって一緒に帰れなかった日とかにするのはどうかな?

後は、休みの日に1日使って出かけるのは家の用事がない日なら」


だから私たちはどんな関係なんだ……!と、
突っ込まないって決めたばかりだったから何度も言いたい気持ちを抑えて
ひとつだけ質問をする。


「お家の用事?」

「……家業の手伝いをしなくちゃいけなくて、土日は空いてない日もあるんだ」

「へー!お店をやっているとか?」

一番無難な話題を選べたかななんて、自然に会話を続けようとするも

「いや、祖母がお茶の席で先生をしていて、
教室とかの手伝いをしてたりするんだ」

「え!お茶?つまり茶道ってこと?」

飲んでいたアイスティーでむせかける。