下駄箱に寄りかかりながら
ふと、昇降口のガラス越しにグラウンドに目をやる。
部活動真っ最中の運動部が一生懸命走っているのを眺めていると
「瀬崎さん、お待たせ」
焼却炉へのゴミ捨てを終わらせてきた結城くんから声がかかる。
「そんな待ってないよ、大丈夫!」
くぅー、これ一度言ってみたかったやつ!
なんて、憧れてたやりとりの当事者になれたことにしみじみと感動。
何かがくすぐったくて無意味に鞄の持ち手を指でなぞりながら
その隣で上履きから靴へ履き替えている結城くんになるべく普通のテンションを意識しながら話しかける。
「確認なんだけど、本当にこの後『カフェに行く』んだよね?」
怒涛の展開から、結城くんを待っている間にやっと一息ついて改めて現状に目を向ける。
まさかの結城くんと放課後を一緒に過ごすなんて全く予定になかった。
私の勢いだけの失言を都合よく受け取ってくれてしまったみたいだけど、
そもそもどういうつもりで私と行動してるのかな。
恐る恐るした確認に当たり前、とでも言うように結城くんは頷く。
「お、おっけー……結城くん、行きたいお店がある――ってことはないよね」
私の言葉の途中で横に首を振った彼を見て、案の定そうだよねと苦笑。
「じゃあなんとなく駅まで行ってみようか」
「うん」
とはいっても今から行くってなってすぐに思いつくのは……。
「――えっと、じゃあ、ここで」
道中、私は結城くんへの適切な接し方が分からず
やっと口を開いたのは目的地へ到着したとき。
そんな私たちが向かったのは駅前のファストフード店。
咄嗟のこと過ぎて他の選択肢が思いつかなかった……。
私の理想的に本当はもっとおしゃれで映えるカフェに行きたかったんだけどね。

