結城くんと青春したい!



ど、どういうこと!?

びっくりしてうまく体を動かせないながらもズサッと後ろに一歩下がる。

「へっ……あの……」

なんか間抜けな声出ちゃった、恥ずかし。

脈略のない行動にかたまっていると
またすぐ無表情に戻った結城くんが口を開く。

「……チョークの粉ついてて」

「あ、あり、がとう……」

「ん」

あまりに予想外の出来事にぎこちなくなったけど
咄嗟にお礼出来た私偉くない?

いや、チョークの粉払ってくれたのは本当に感謝なのよ。

ただ、本当に、心臓に悪い。

教室が静かなせいで鼓膜の奥から心臓の脈打つ音が聞こえる。

これ以上こんな近くで結城くんと絡んでいたら脳内処理が追い付かない!

黒板も消し終わったし、

よし、もう席に戻ろう!!

驚いてかたまった体をほぐすように大きく息を吸った。

「こ、これで掃除終わりだよね、
黒板消すの手伝ってもらっちゃってありがとね!」

黒板消しをくぼみに置いて自分の席へ戻るために後ろを振り返る。


はぁぁもうずっと顔が熱いよー!

さっき一瞬ふっと笑った結城くんの顔が目に焼き付いて離れない。

手がチョークで汚れていないことを確認して、火照った頬をおさえる。


両手を頬に置いたまま、教卓の角を曲がろうとして

「――っ!?」

脚に少しの痛覚と、視界がグラつく感覚。

教卓と最前の席にかけられていた箒に気づかず
つまずいちゃったみたい。

やばい!このままだと手をどこかにつける前に
転んで机にぶつかっちゃいそう!!

この後来るだろう衝撃にぎゅっと目をつむると、
ぐいっと後ろへ引き寄せられる。


「……ん?」


な、何が起こったのかわからないけど、痛く、ない……?


人間焦ったときってどこかスローモーションになったように感じるんだぁ。
なんて、パニック過ぎて逆に冷静になっちゃってる。

目をつむっていたこともあり暗い視界からそっと目を開ける。

それと同時に

「瀬崎さん?平気?」

頭上から低く優しい声がかかる。

カタン!という音にはっとして顔をあげると
私が引っかかった箒が床に倒れた。

目の前に何かがあってピントが合わないせいで少し体を離すと

「「――っ!」」

至近距離で結城くんと目が合う。


え、えっ近!!!

慌てて後ろに下がろうとしたけど後ろに教卓があたりこれ以上は下がれない。
つかまれた片腕がピンとのびただけだった。


結城くんは私が倒れないようにかずっと腕をつかんでくれていて、
彼のもう片方の手はバランスを取るために教卓に寄りかかっているため
それによって私の体は教卓を背に結城くんの両腕で囲まれているようになってしまった。

口元に力が入らずあわあわしながらも
自分が置かれている状況に頭に血が上る。


こ、これは……かの有名な壁ドン、ならぬ教卓ドン!――なんちゃって。


――キーンコーンカーンコーン

7限目があるクラス用の終業のチャイムが鳴り響く。



何、このシチュエーション……。