吸い込まれるような結城くんの切れ長の瞳から目が離せないでいると、
すっと上がった彼の腕の動作に視線が誘導される。
その手は黒板を指さしていた。
「後黒板消したら掃除終わるんだけど」
慌てて目をやるとまだ文字が書かれてる黒板。
掃除、黒板……?
あ、そっか、このクラスは掃除の時でも黒板消すのは日直ってルールなんだっけ。
「あ……ご、ごめん!今消すね」
シャーペンを置いて、慌てて黒板に向かう。
やばい目が合った時めっちゃどきどきした。
イケメンって心臓に悪い!!
興奮を誤魔化すように右端から大げさに手を動かして黒板をきれいにしていると、
反対側から結城くんが手伝い始めてくれる。
「わー、ありがとう!」
お礼をすると
「残りの掃除後これだけだったから」と。
やたら教室が静かなことに気づき振り返ると、
なんと私と結城くんしかいないじゃないですか。
「え、他の人、は?」
「ゴミ捨て任されて……他の人はもう帰った」
最後のゴミ捨てをする人は少人数でも出来るからと大抵その週の教室掃除係から毎日ジャンケンなどで決められている。
でもジャンケンで決めたとしても大抵ゴミ捨て係は2人いるはず。
「もう1人はいなかったの?」
「逢坂だったけど、他のクラスの人が来て、帰した。
今日は1人で捨てられる量だったし」
逢坂に会いに来る他のクラスの人……ってことは彼女ちゃんか。
確かに待ってる人がいるのにゴミ捨て係になっちゃった時とかは
代わってもらうのはたまに見る光景だけど。
結城くんも気を遣って1人で捨てられるって言ってあげたのかな。
そうだとしたら結城くん意外に気が使えるなー
なんて、そんな失礼なことを考えていると、
目に少しかかるさらっとした黒髪のすき間から視線を感じる。
……な、何っ!?
私が考え事をしていたせいかもうほとんど結城くんが黒板の残りを消してくれていて
最後の一列をシュッと消した手をチョークなどが置かれてるくぼみに乗せると
体ごとこっちを向いている。
その隣で体は黒板と並行、顔だけ横を向く私。
こんな近距離で並んだことなかったから知らなくて当然なんだけど、
平均より少し高めってくらいの背丈なのに顔も小さいし腰の位置が高くて、
スタイル良すぎじゃない?
本当に何から何までイケメンなんだけど、
表情変わらないから怖いんだよな……
何を考えてるの?
再びの静止した時間に身構えていると
急にふっと結城くんの口角がほんの少し上がって、頭を軽くぽんぽんと触れられる。
「――っ!!?」

