自分の〝仮の〟部屋に戻り、用意されていたお風呂に入って、ようやく人心地がつきました。温かいお湯に体がほぐれていくのと同時に、張り詰めていた気持ちも緩んでいくようです。いや、逃亡先から帰ってきたばっかりだというのに、怒涛の展開がすぎるってもんでしょ。竜王様(というより周り?)は、本気で私にお妃教育しようとしてます。
「こんなポンコツにお妃様なんて務まるわけがない」
 ……そうよね! そうだそうだ!
 私がポンコツだというのはすでに竜王様もご存知だけど、そんなの氷山の一角。自分で言うのもなんだけど、真の私は竜王様の予想のさらに上をいくポンコツです。きっとそれがバレたら、さすがの竜王様も諦めるでしょ。
「そうそう、すぐバレるって」
 声に出したら、なんとかなる気がしてきた。
「普通に勉強してるだけでも何かやらかすのは目に見えてるしね。バレたら使用人降格でしょ。うん、なんとかなる」
 なんかめっちゃ前向きに開き直ってきたところで、どっと疲れが押し寄せてきました。眠い。眠すぎる。 
 とりあえず寝ましょうか。明日から始まるという、お妃教育に備えてね!