お城に帰ってくると、竜王様たちの尽力の成果が出始めていて、病気のことが色々判明していました。バーガンディーさんがかき集めてきた国内の情報をインディゴ様とスプルース様が分析した結果、やはりインフルエンザに似た病気のようです。
 国内のほとんどの地域で同時発生・流行していて例外がないということ。既存の薬では効き目が薄いか、もしくは効かないということ。魔術ではどうにもできないということが判っています。元現代人の私からすれば、ウィルスに魔術は効かないでしょと言いたい。まあ、説明が面倒なので言わないけど。
「お昼ご飯も召し上がっていないし……晩餐もどうしようか」
 トープさんとウィスタリアさんが困っていました。
「どうしたんですか?」
「竜王様たち、ずっと部屋に篭りきりでご飯を食べてないんですよ」
「え〜!?」
 そんなんじゃ体力持ちませんって。この世界にはない概念だけど、免疫力が下がれば病気にも罹りやすくなるのに。
「いつもの晩餐をお部屋に運んでも邪魔になるだけだしねぇ」
 トープさんがため息をつきました。
「じゃあ、お部屋にあったお食事を出せばいいのでは?」
「え?」
「は?」
 二人が同時に私を見ました。
「軽食でもよくないですか? おにぎりとか、どうでしょう?」
「ああ、それはいいね」
「いつでも食べられますしね」
 二人が同意したので、さっそくサティーバを蒸しておにぎりを作りました。温かいものもあるといいねということで、味噌汁も一緒に。少しでも食べてもらえるように、心を込めて作りました。みんなのために働いてくれている竜王様たちが倒れてしまっては元も子もありませんからね。私たちができることは、陰で支えることです。