「安達?」


背後からそう呼ばれ反射的に振り返ると、
そこに立っているのは松永先生


笑顔を浮かべているのに、私にはそうは見えなくて怖くなる




「安達、今日日直だろ?
5時間目が始まる前に、物理の準備室に来てくれないか?

新しい問題集を取りに来て欲しいんだ。
今日の授業で使うから」



今日の5限目の授業は、松永先生が受け持つ物理がある


松永先生に言われて、もう一人の日直の佐藤さんの姿を探すが、教室には居ない




「佐藤、食堂に行ってるのか居ないから、悪いが安達一人だけど頼む」




一人で来いって事だろうな‥‥




「分かりました‥‥。
すぐに行きます」


私がそう言うと、よろしく、と言って松永先生は教室から出て行った




「えー、未央いいなあ!
先生にお願いされて」


萌のその声に曖昧に頷いた


この後の事が怖くて、萌のその言葉に何かを言う余裕なんてなくて