そのまま私と松永先生は、進路指導室へと行く。
その部屋は、個室で、
私と松永先生だけ。
その部屋で、間に机を挟んで松永先生と向かい合う。
椅子に座っているけど、足が少し震える。
最近はこの人に恐怖を抱く事は無くなっていたけど、
密室で、この距離だからか。
怖い。
「気になるなら、ドア開けておくか?」
松永先生はそんな私の様子に気付いたのか、
廊下に面した扉の方を見ている。
それは、しっかりと閉じられている。
「いえ。大丈夫です」
ぐっと、勇気を出すように拳を握る。
「そうか。
で、進路の事で話って?
安達は確か、T大学の心理学部が第一志望だったよな?」
そう言えば、そうだったと思う。
その大学は、私の学力でも行ける程度で、家から近いからいいと思った大学。
「私、S大学を受験しようと思ってます」
私の口から出た、そのS大学の名前を聞いて、松永先生は見るからに驚いているのが分かった。
目を見開いて、私を見ている。
「S大学って、S県のだよな?
お前、正気か?」
冷静沈着のこの人がこんな風に動揺するくらい、
私は無謀な事を言っている。
「はい」
それが、父親から出された条件だった。
私が国立のS大学に受かるのならば、
私とナツキの事を認めてくれると。
その部屋は、個室で、
私と松永先生だけ。
その部屋で、間に机を挟んで松永先生と向かい合う。
椅子に座っているけど、足が少し震える。
最近はこの人に恐怖を抱く事は無くなっていたけど、
密室で、この距離だからか。
怖い。
「気になるなら、ドア開けておくか?」
松永先生はそんな私の様子に気付いたのか、
廊下に面した扉の方を見ている。
それは、しっかりと閉じられている。
「いえ。大丈夫です」
ぐっと、勇気を出すように拳を握る。
「そうか。
で、進路の事で話って?
安達は確か、T大学の心理学部が第一志望だったよな?」
そう言えば、そうだったと思う。
その大学は、私の学力でも行ける程度で、家から近いからいいと思った大学。
「私、S大学を受験しようと思ってます」
私の口から出た、そのS大学の名前を聞いて、松永先生は見るからに驚いているのが分かった。
目を見開いて、私を見ている。
「S大学って、S県のだよな?
お前、正気か?」
冷静沈着のこの人がこんな風に動揺するくらい、
私は無謀な事を言っている。
「はい」
それが、父親から出された条件だった。
私が国立のS大学に受かるのならば、
私とナツキの事を認めてくれると。



