「けど、もし車買い替える事になったらあれだな。
レーシックしようと貯めてたから」



そんな彼は、ナツキと同じく目が悪く、
仕事中はコンタクトだけど、
今はまだ眼鏡を掛けている。


それは銀フレームで、ちょっと松永先生を思い出すから、嫌だったりする。



「それより、未央さん、そろそろ出なくていいの?
朝から会議で、早めに出社するとか言ってなかった?」



「あ、ほんとだ」



私は、残っていた味噌汁を飲み干した。

「食器の片付けお願いね」


「はいはい」



私が立ち上がると、




「未央、今日も1日頑張って」



そうやって、時々、未央ってこの人が呼ぶ度に、
今もナツキを思い出してしまう。


ナツキは、私を未央、と呼んでいたから。



「はーい」



そう言って、私は鞄を持ち、このワンルームマンションから出た。