ナツキのマンションの部屋に戻ると、
ナツキは脱衣場にあるバスタオルを数枚手にして、
リビングのソファーに座った。



「そういえば、クローゼットの中に、黒い木のボックスがあるんだけど、
その中に消毒液とかあったはずだから、未央取って来て貰っていい?」



ナツキにそう言われ、私はそれを取りに行った。


その木のボックスの中には、風邪薬とか色々入っていて、救急箱として使っているのだろう。


その消毒液の他に、大きなガーゼと医療用テープを持ってナツキの元へと戻る。



リビングの床には、ナツキの血で赤く染まったバスタオルが、数枚落ちている。



ナツキは今もバスタオルでその傷口を押さえているけど、
先程よりもその血の出るスピードは緩まっているように思えた。



「ナツキごめん。
私を庇ったから」


ナツキは私を庇い、その顔に傷を負った。



「未央が謝る必要ないでしょ?
巻き込んだのはこっちなんだから」



私はナツキの横に座り、その傷口を消毒する。



「染みる?」



垂れて来るその液と血を、ティッシュで押さえる。



「ちょっと、ね」


そう苦笑している。


こうやって間近で見ると、その傷口は先ほど見たよりかは、浅いのかな?と思ったけど。


けど、ずっと直視出来ない程に痛々しい。