「あのさ、デートしてるんだけど。
見て、分かんない?
邪魔しないで下さい」


ナツキがそう言って、
その男性は私に視線を向けた。


その男性の視線は、何処か私を値踏みするような視線で…。



「この子若そうだけど、いいのお前?」


再び、その人はナツキに視線を向けていた。



「あー、児童福祉法違反で捕まるような人は、
その辺り気になります?」



えっ!この人犯罪者?!


それも、児童福祉法違反って…。

若い子に手を出したとかなの?



「まあ、でも、18歳にはなってるように見えるけど、
この子高校生だろ?」


「なんでそんだけ分かるのに、捕まるんですか」


ナツキは呆れたように笑っているけど、
何処となく嬉しそうなのが、その空気で分かった。




「成瀬(ナルセ)です。
あ、名刺あげる」


その人は私の方を見て、言っているように名刺をくれた。


受け取ったその名刺には、成瀬遥って書かれていて。


後は、この人の勤める社名。


映画関係の仕事なのかな?



「ほら、前に成瀬さんにチケット貰ったあの映画、さっき観て来た」



あのチケットくれたの、この人なんだ。


「ああ。けっこうあの映画面白かっただろ?」


「まぁね」