「あのさ、ちゃんと言ってくれないと分からない!
私、ナツキみたいに大人じゃないから、
分からない」


私が大人なら、今のナツキが何に対して腹を立てているのか分かるかもしれない。


なんで、私はまだ子供なのかと、
悔しくなる。



「…ごめん。
大人げなかったのは、俺の方…。
嫉妬した。
未央と松永先生との関係に」



力が抜けたように、
シートベルトを外してナツキはシートに深く凭れる。




「嫉妬?」



なんだか、色々とよく分からない。


嫉妬って、一体何?



松永先生と私の関係の何に?


それに、ナツキは私の事は…。


そんな嫉妬するような、感情を私に持ってくれてるの?



「俺は、未央が好きだから。
初めて会ったあの夜から…あの瞬間から」



「あの瞬間…」


そのナツキの突然の私への告白に驚いていているし、
嘘だと疑う自分がいるけど。


ナツキが口にした、あの瞬間が私には分かり、
その時の光景が頭の中に鮮明に蘇る。



「あの時、未央に抱きしめられて、
俺は救われた」




‘ーー今度は、俺が未央を救うからーー’


今日、昼間それを言われた時は、
ピンと来なかったけど。



私は、ナツキを救っていたんだ。


あの夜、ナツキを孤独の世界から。