「松永先生、ありがとうございます・・・。
あの人、私を誰かと勘違いしているみたい・・・」
まだ、誤魔化せるかもしない
私が他の男と親しくしていると知ったら、
松永先生に何をされるか分からない
私に対して、愛なんてこれっぽっちもないが、
私を自分の所有物のようにこの人は思っている
だから、そんな私が、その事を彼に許されるわけがない
松永先生とその関係を終わらせるつもりだが、
出来れば揉めずに穏便に終わらせたいと思っている
それに、絶対にナツキを巻き込みたくない
松永先生がナツキのその存在を知り、彼に迄何かをするとは思えないが、
それは絶対ではない
「そうか。
とりあえず、まだあの女性が近くに居るかもしれないから、気を付けて帰れよ」
松永先生は、そう言って優しく笑顔を浮かべているが、
私の嘘が通用していない事がその目から伝わって来る
「ーーーはい」
私はとにかく逃げ出したくて、慌てて踵を返し歩き出す
今逃げた所で、松永先生から逃げられないのに
でも、もう終わらせる
松永先生に怯えて過ごす日々は、もう終わらせよう



