白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

「でも、立てた。昨日は立つのも怖いって言ってたのに」

「だって猫ちゃんが、川に落ちそうになっていたから……」

「喜助……じゃなかった、猫を助けるために怖いのも我慢したってことか! すげーじゃん。華は優しいな!」


 いまだに顔を逸らしたままの華ちゃんに向かって、佐助は弾んだ声で言った。

 本当に心から、華ちゃんのことを「すごい」「頑張った」って思っているような、そんな声に聞こえた。

 すると華ちゃんは恐る恐る佐助の方を向いた。

 満面の笑みを浮かべている佐助と目が合うと、華ちゃんは少しぎこちなく、だけど嬉しそうに笑った。


「ありがとう……! あの、昨日はごめんね。佐助くんにひどいこと言って……」


 申し訳なさそうに華ちゃんが言う。

 佐助は忙しく首を横に振って、焦った口調でこう返した。


「い、いや! 俺の方こそ、会ったばかりでいきなりあんなこと言ってごめんな」

「会ったばかり……」


 華ちゃんはなぜかじっと佐助を見つめた。

 突然の彼女の行動に、佐助は顔を赤らめる。


「は、華?」

「佐助くん、会ったばかりじゃない気がするの」

「え……?」