白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

 さっきの黒霧、やっぱり恋愛っぽい雰囲気になってたよね。

 それに白亜も「枝乃は俺のこと好きになる予定」なんて言うから、気になっちゃうじゃん……。

 ふたりのイケメン猫神候補の存在が気になって、あまり箸が進まなかったんだ。





 次の日は土曜日で、学校が休みだった。

 朝六時に「朝の礼拝だ!」なんて言いながらお父さんが起こしに来たけれど、私はいつも通り華麗にスルーして布団と仲良くしていた。

 そして、いつもの休日同様、九時くらいに起きて、なんとなく境内を散歩していると。

 猫の姿の佐助が、うろうろと落ち着かない様子で歩き回っていた。


「どうしたの、佐助?」


 尋ねてみたけれど、佐助は「にゃー」としか鳴かない。

 あ、そっか。

 今は普通の猫だから、人間語は喋らないんだよね。

 白亜か黒霧に、術をかけてもらわなきゃ……と、思っていると。


「あ、枝乃。おはよー」

「お前、起きるのおせぇな」


 ちょうどふたりが拝殿の裏からやってきた。


「白亜、黒霧! ちょっと佐助の様子がおかしくて……」

「ああ、さっき佐助と話したよ」