白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

 能天気そうなそんな声が聞こえてきたかと思ったら、白亜が私と黒霧の間に入って、私たちふたりを手で軽く押しのけた。

 私たちを引き離すかのように。


「なっ……」


 突然現れた白亜に、黒霧は驚いたような顔をする。

 しかし白亜は、かわいらしく頬を膨らませて、こう言った。


「だめだよー、黒霧。俺が見てないとこで枝乃に迫るなんて。枝乃は俺のこと好きになる予定なんだから、そんなことしないでよ」

「は、はあ!? そんな予定ねえよ!」

「えー、そんなことないよ。ねえ、枝乃?」

「えっ……? い、いや、あの……」


 いきなり話を振られて、混乱してしまっている私はうまく答えられない。


「枝乃を嫁にするのは俺だ。そして猫神になってやるんだからな!」

「だからそれは俺ですー! 黒霧には譲りませんー」

「俺だって譲らねえよ!」


 ……なんて、いつも通りのふたりの言い合いが始まってしまった。

 で、でもさっきの黒霧、ちょっといつもと雰囲気が違って……。

 正直ちょっと、かっこよかった。