白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

「そんなの言うまでもないだろ。神様ってすげー偉いじゃん。そんなのに自分がなれたらやばくね?」


 目をキラキラさせて、黒霧は言う。

 白亜は「さすがだなあ」って思わせるような目標があったのに、こいつは!

 
「しょ、しょうもない!」


 呆れてしまった私は、思わずそう言ってしまう。

 黒霧はムッとしたような顔になった。


「なんだよ、別にいいじゃねえか理由なんてなんでも。それに別にそれだけが理由じゃねーし」

「ほ、他の理由は?」


 まったく期待を込めずに私は聞いてみる。


「猫達に強くなって欲しいってのもあるな」

「強くなって欲しい……?」


 よくわからなくって聞き返したら、黒霧はぼんやりと夕焼けの空を眺めながら、こう言った。


「普通の猫は俺たちと違って何の力もない。だから基本的には人間よりは弱い存在だ」

「うん……。まあ、そうだね」


 基本的に、人間に世話されている猫は幸せで、外にいる猫たちは大変な目に遭っているという認識が私にもある。


「人間に捨てられたり、いじめられたりとか、そう言う目に遭っている猫も多いだろ」

「……うん」