白猫王子と俺様黒猫～猫神の嫁なんてお断りですっ！～

「あの、私も勢いで『大嫌い』なんて言っちゃって、ごめんね。黒霧のことを大嫌いだなんて、本当は思ってないから」


　それだけはちゃんと伝えておきたかったから、私ははっきりと言った。

　すると黒霧は、パッと瞳を輝かせた。


「ん?　じゃあ俺の嫁になってくれるのか？」

「え!?　そ、それとこれとは話は別だから！」


　すぐに結婚に結びつけるんだから、もう！

　呆れる私だったけれど、黒霧は「なんだ、そうかよ」と笑って言っている。

　私と喧嘩してから、どうやら黒霧の「猫神になりたい焦り」ってやつが、ちょっとは落ち着いたらしい。


「あ、飯だったな。腹減ってたと思ってたんだ」


　黒霧が社務所兼住居の方へ歩き出したので、私も彼に並んで歩く。


「黒霧は、なんで猫神になりたいの？」


　歩きながら私はそう尋ねた。

　白亜は「人間と猫を今よりも仲良しにするっていうのが、猫神になった時の俺の目標」って言っていた。

　黒霧には、猫神になることに対してどんな思いがあるんだろうって、私は気になっていたんだ。