白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

 と、私は佐助の言葉を聞いてあわあわしたけれど、佐助自身も途中で気づいたのか、口を噤んだ。

 華ちゃんはと言うと、無表情になって佐助の顔を眺めていた。

 しばらくの間、口を引き結んで何も言わない華ちゃん。

 直感で、「あ、これはなんかまずい」と私は思った。


「……そんなこと言われても。痛いし、怖いんだよ?」


 低い声で華ちゃんは言う。

 佐助の「この前俺に言ってたじゃんか!」という不自然な言葉については、特に触れて来ない。

 たぶん、その前に佐助が言ったことが、華ちゃんにとってとても嫌なことだったから、あまり聞いていなかったんだと思う。


「さ、佐助。ちょっと、あの……」

「でも! 諦めんなよ!」


 ちょっとそれ以上言うのはやめたほうがいいかなと思った私は、佐助を止めようと思って声をかけた。

 でもヒートアップしてしまった佐助に私の声は届いていなかったみたい。

 強い口調で放たれた佐助の言葉のあと、華ちゃんは車いすを手で操作して、私たちから背を向けた。


「は、華ちゃん……?」