白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

「ううん。もう病気は手術で治っているはずだから、頑張れば絶対に歩けるようにはなるはずだって言ってた。……でも辛いから、諦めたくなっちゃって。最近ではもう、このままでもいいかなって思うこともあって」


 私は何も言えなくなってしまった。

 今、私は華ちゃんの隣で立っている。

 自由に動かせる、二本の足で。

 そんな私が「頑張ろうよ!」なんて言ってもいいんだろうかって思った。

 もちろん、歩けるようになるのなら頑張ってほしいけれど……。

 誰だって転ぶのは嫌だし、痛いのだって辛いよね。

 なんて言ったらいいんだろう……。

 言葉の見つからない私が黙っていると。


「頑張れよ!」


 いつの間にか、屈んで華ちゃんに目線を合わせていた佐助が、強い口調で言う。

 華ちゃんは、目を見開いて驚いたような顔をしていた。

 そんな華ちゃんに向かって、佐助はさらにこう言った。


「頑張れば歩けるようになるってわかってんだろ? じゃあ頑張ろうぜ! それにこの前俺に言ってたじゃんか! 歩けるようになったら、俺と……!」


 あ、それ猫の佐助に言ってたやつだよ!