白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

 華ちゃんを安心させるために、私は咄嗟に嘘をついた。

 まあ、実際に佐助は近くにいるわけだし……。

 悪い嘘ではないはずだ。


「そうなんだ。よかったあ」


 華ちゃんは、心からほっとしたような顔をした。

 ――それはいいんだけど。

 この後、どうしよう。

 佐助は、「歩くためのリハビリを諦めそうになっている華を励ましたい」って言っていたけど。

 いきなり、初対面の私たちが「リハビリ頑張りなよ!」なんて言っても怪しいよね。

 うーん……と、私が思っていると。


「なあ華。……歩く練習、しないの?」


 佐助が直球でぶっこんで来たので、私は息が止まりそうになった。

 初対面っていう設定なのに、華ちゃんの名前呼んじゃってるし、彼女が歩く練習をしていたことについても言っちゃってるし!

 でも佐助って猫だし、人間同士のコミュニケーションの取り方が分からなくてもしょうがないのか……!

 あー!

 もっとちゃんと作戦立てておくんだった!


「え……? なんで私の名前を知ってるの? それに歩く練習って……」