白猫王子と俺様黒猫～猫神の嫁なんてお断りですっ！～

　華ちゃんに近づこうと三人で歩いていたら、私は橋の欄干の上にいる猫の存在に気づく。
　
　華ちゃんは手を伸ばして、その猫の背中を撫でていた。

　遠目だからまだはっきりしないけれど、見覚えのある模様の猫だった。


「あれは俺の弟の喜助だ。二匹でよく、この辺で華に会ってたんだ」

「あ、そうだったんだね！」


　近づくにつれて、猫の模様がはっきりと見えてきた。

　佐助とよく似た茶トラの模様だったけれど、佐助よりもお腹や足に白い部分が多い。

　うん、佐助の言う通り、やっぱりあれは喜助だ。


「喜助は俺より心の成長が遅いんだ。だから、華が病気だったこととか、歩くリハビリをしてたこととか、まだよくわかってない」
　
「そっか、だから喜助の方は元気だったんだね。でも、猫がいるなら華ちゃんにも話しかけやすいよ！」


　外で猫に構っている人がいると、「かわいいですね！」って私はよく声をかけてしまう。

　私もその猫に触りたいからなんだけどね……。

　でもそんな時は、猫好き同士だからかほぼ百パーセントの確率でその後の会話も弾むんだ。


「こんにちは！　かわいい猫だね」