白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

 子猫の佐助の口から、人間語が飛び出してきた。

 私は心臓が口から出そうになるほど驚く。

 ほ、本当に喋れるようになるなんて!

 人間から猫に変身したときに、白亜の力には驚いたけれど、他の猫にもこんなことまでできちゃうなんて。

 やっぱり伊達に猫神候補を名乗ってるわけじゃないんだなあ。

 って、白亜の力はさておき、まずは佐助に元気がない理由を聞かなくっちゃ。


「佐助! どうして元気がないの?」


 突然人の言葉を喋れるようになった佐助は戸惑っていたけれど、私がそう尋ねると、じっと見つめてきてこう言った。


「……心配な子がいるんだ。人間の女の子で、華って言うんだけど」

「華ちゃん? この辺に住んでいる子なの?」


 佐助は頷くと、華ちゃんについて説明しだした。

 佐助が弟の喜助とこの近くを散歩しているときに、同じく散歩していた人間の華ちゃんと出会った。

 華ちゃんは猫好きらしく、とてもかわいがってくれるから、佐助は毎日のように会いに行った。

 ただ、華ちゃんは車いすで移動しているんだって。

 華ちゃんは長い間足の病気を患っていたそうだ。