白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

 この辺をテリトリーにする猫達を「地域猫」と呼んで、みんなでご飯やトイレの世話をしている。

 そのため、うちで面倒をみている猫達がうろちょろしていても、温かく見守ってくれる。

 だから、佐助や喜助もよくその辺を散歩しているのだった。

 それにしても、佐助の元気がないのが、精神的なことが原因なんて。

 一体何なんだろう?

 少し前までは元気にしていたし、私には全然見当もつかないや。


「まあ、ご飯も全然食べていないわけじゃないし、下痢したり吐いたりしているわけでもないし。ちょっと様子を見ましょ」


 お母さんはそう言うと、社務所兼住居の建物に入って行った。

 確かに、お母さんの言う通り様子を見るしかないなあ。

 でも、佐助に不安なことがあるのなら早く取り除いてあげたいよ。

 ガラス玉のように透き通ったきれいな佐助の瞳を見て、私は思う。

 佐助と直接話をして、元気がない理由を聞けたらいいのになあ。

 だけど、白亜や黒霧と違って普通の猫である佐助と意思疎通をするのは無理だ。

 あのふたりなら、猫にも人間にもなれるけどね。