白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

 お父さんはまだ何か言おうとしていたけれど、私は無理やりぶっちぎって住居の中へと入った。


「……まったく、お父さんは」


 思わずそうぼやく。

 猫神様が私から黄金の猫じゃらしを受け取るために、家にやってくる?

 そんなこと、あるわけないのにさあ。


「みゃあ」


 そんなことを考えていた私に向かって、箱の中の白猫が首を傾げながら鳴いた。

 黒猫はマイペースそうに毛づくろいをしている。


「あ、そうだった。君たちにとりあえずご飯だね」


 私はキッチンへ向かうと、戸棚から子猫用のキャットフードと猫用の皿を出した。

 そしてお皿に適当な量のフードを載せて段ボール箱の中に入れる。

 すると猫二匹は、匂いを一度だけ嗅いでから、とてつもない勢いでご飯にがっつき始めた。

 一生懸命食べていて、かわいいなあ。

 二匹がご飯を食べている様子を見ながら、段ボール箱ごと猫を居間へと持っていく私。

 ちゃぶ台の隣に箱を置いて、私は猫を眺めた。

 ご飯を食べ終えた子猫二匹は、膨らませたお腹を見せつけるように、昼寝をし始める。