白猫王子と俺様黒猫～猫神の嫁なんてお断りですっ！～

　なんだか話が進まなくなりそうな気がしたので、とりあえず私はスルーする。


「と、とにかく！　結婚とか嫁とか、そういうのみんなの前で言わないで欲しいの。私がすごく困るから……」


　本当は「あんなことを言うなんてありえない！　やめてよ！」って強く言いたいけれど、そうすると反発されそうな気がしたので（主に黒霧が）、私はお願いするように言った。

　――すると。


「なるほど、分かったよ。枝乃が困るんならしょうがないね」


　白亜はうんうんと頷きながら、あっさり了承してくれた。

　よかった……！


「ありがとう……！　それと、ふたりは私の親戚で家庭の事情で家にいるってことにしてほしいんだ」

「ふーん、別にいいけど。それなら俺たちはいとこ同士とか言っておけばいいかな？」

「あ！　それいいね！」

「おいちょっと待て」


　私と白亜がそんな会話をしていると、黒霧が大きな声を上げて割り込んできた。

　何やら、とても不機嫌そうな顔をしている。


「な、何？　黒霧……」

「俺はそんな嘘つくのは嫌だ」


　恐る恐る私が尋ねたら、黒霧はふん、と腕組みをしながら鼻を鳴らした。