本当は別の目的のくせに、お母さんがさも信心深そうな言葉を言ってきたものだから、お父さんも納得してしまう。


「は、はあ!? ちょ、ちょっと待ってよ!」

「枝乃。ふたりは本物の猫神の候補なんだぞ。そんなふたりを追い出すなんて、あってはならないことなんだ」

「で、でも!」


 お母さんはかっこいい男の子たちを傍に置いておきたいだけなんだよ!

 ……って、言いたくなったけれど、お母さんにベタぼれのお父さんにそれを言うのはなんだかかわいそうな気がして、私は慌てて口を閉じる。

 も、もう!

 どうしたらいいの!?

 困る私だったけれど、こうなってくると神主であるお父さんの意向には逆らえない。
 

「なんだ、なかなか物分かりがいいな。それじゃこれからよろしくな」

「お世話になりまーす」


 黒霧も白亜も、お父さんとお母さんの言葉に気をよくしたのが、ご機嫌な様子で言う。


「うんうん、ふたりともよろしくねー。賑やかになりそうね、お父さん」

「そ、そうだな……」


 楽しそうに言うお母さんと、戸惑いながらも渋々と言った様子で頷くお父さん。