「ふーん……って、え?」


 猫神候補ふたりの会話を他人事のように聞いていた私だったけれど、黒霧がとんでもないことを言った気がして硬直する。


「俺もそうするよ。試練が何なのかとか、猫じゃらしのこととかを調べたいし、将来のお嫁さんの近くにもいたいしなあ」


 白亜がにっこり笑って言う。

 え、え……!?

 ふたりとも、ここに……。

 猫屋敷神社に住むって言ってるのー!?


「ちょ、ちょっと待ってよ! そんなの無理……」

「あらあら。そういうことなら、部屋は余ってるから大丈夫ね。うちでふたりのことをおもてなしするわ」


 猫神候補ふたりのありえない提案を瞬時に拒否しようとした私だったけれど、なんとお母さんがあっさりと受け入れるようなことを言った。


「お、お母さん!? なんでっ!」

「だってふたりとも猫神様の候補なんでしょう? そんな人たちがここに住みたいって言ったら、断れるわけないじゃない? ここは猫神様を祀っている神社なんだから」

「えー!」


 お母さんってそんなに猫神様を崇拝してたっけ!?