白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

 全然黄金じゃないんだけど……と、私が思っていると。


「あら、そういえば。おばあちゃんが『試練を乗り越え猫じゃらしが黄金に光りし時、その者は神になる』って言ってたようなー? ねえ、お父さん」

「あ! そうです! そんな話があった気がします」


 私は知らなかった黄金の猫じゃらしの伝承の続きを、お母さんとお父さんが説明した。

 猫じゃらしの実物を見て、ふと思い出したんだろう。

 ってことはつまり、このふたりが猫神になる試練を乗り越えないと、猫じゃらしは黄金にはならないし神にもなれないってことか。

 試練ってなんか大変そうな響きだし、なんだか時間がかかりそうだ。

 私と結婚するって話も、しばらくは保留になりそうじゃない?

 なんて、ちょっと安心した私だったけれど――。


「なんだそれは、わけがわからない。この黄金じゃない猫じゃらしを持ち帰っても、なんの意味もないってことかよ」

「そうみたいだね。試練を乗り越えないといけないってわけだね」

「面倒くせえ。だけどこれをほっといて帰ったら、白亜に取られるかもしれないな。だから俺はしばらくここに住むことにしたぜ」