白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

 私は別に黄金の猫じゃらしなんてどうなっても構わないけれど、宝具として神社に伝わる物だから、お父さん的にはあっさり渡すわけにはいかないらしい。

 でも見せるくらいならOKってことみたいだ。

 お父さんは、本殿の奥に置かれている木の箱を、大事そうに抱えて私たちの方へと持ってきた。

 そして一同の前で、箱をパカリと開ける。


「え。これが黄金の猫じゃらしなの……?」

 
 箱の中には、金属製の猫じゃらしが入っていた。

 だけど茶色くさびていて、はっきり言って汚いし古臭い。

 どこが黄金……?と思えるほどボロボロだ。


「なんだよこれ、偽物じゃないのか?」


 黒霧も、黄金の猫じゃらしのボロさに疑いの目を向ける。

 だけど白亜は、マジマジと黄金の猫じゃらしを観察した後、こう言った。


「……いや、微かに神の力を感じるよ。本物だと思う」

「言われてみりゃ、そうだな」


 人間の私には神の力なんて全然感じられないけれど、猫神候補のふたりがそう言っているのならそうなんだろう。

 でも黄金の猫じゃらしっていう宝具なんだよね、これ。