白猫王子と俺様黒猫～猫神の嫁なんてお断りですっ！～

　人間が猫になって、猫神様の伝説が本当だったことに驚きすぎて、ついそのことを忘れてた！


「ん？　どうしてそんな驚いてるの？」

「枝乃を嫁って……！　そ、そんな伝承はなかったはずですか！」


　今までずっと感激した様子で猫神候補のふたりを眺めていたお父さんが、慌てた様子で言った。

　さすがにまだ中学生の娘を嫁にやる覚悟はなかったみたいだ。

　……って、そんなの当たり前か。

　私だってもちろん、まだそんな話受け入れられないって。


「え、そうなの？　俺たちの方では、そういう風に伝説が伝わっているけどなあ。黄金の猫じゃらしと共に、それを守る巫女も嫁に迎えるって。なあ黒霧？」

「あー、そうだ。そうしなきゃ猫神になれないって話だ」

「そ、そんな！」


　泣きそうな顔をするお父さん。

　その隣でお母さんは、少しだけ困ったような顔をしてこう言った。


「遠い昔から伝わる話だものねぇ。受け継がれる間に、内容が変わってしまったのかもしれないわねえ」

「大丈夫だよ巫女……枝乃のお母さん。俺が枝乃を幸せにするからね」