白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

 確かに巫女である私が黄金の猫じゃらしを猫神候補に献上するっていう伝説だったけれど。

 い、いきなりそんなこと言われても。

 それにどっちに渡せばいいのか分からないし……。

 ――って、待てよ?

 巫女の役目は猫神候補に黄金の猫じゃらしを渡すだけだよね?

 つまり、私がこのふたりのどっちかに黄金の猫じゃらしを渡しちゃえば、私の巫女としての役目は終わりってことじゃない?

 そうすれば、お父さんから「巫女としての自覚を持て」って、毎日うるさく言われることもなくなるんじゃない!?


「そういうことなら、黄金の猫じゃらしの場所は教えるからさっさと持って帰ってくれないかな! あなた達のどっちが持って帰るかは、ふたりで決めてよね!」


 お父さんの小言から解放されるかもしれないと思った私は、意気揚々とふたりにそう言った。

 これで礼拝だとか儀式だとか、よくわかんない行事から解放されるんなら、願ったりかなったりだ。

 すると猫神候補のふたり、さらに私に詰め寄ってきた。


「え、本当? それなら場所を教えてよ」

「おい白亜、抜け駆けすんな。おい巫女、場所は俺にだけ教えろ」