白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

 なんと、彼も宙返りをして猫の姿になったのだった。

 さっき、私が拾ったもう一匹の猫――かわいい黒猫の姿に。


「え……え……」

「これで信じてくれたかい? 俺たちが猫神候補だってことに」

「面倒な奴だなあ、ほんと」


 私に向かって、子猫たちが人間の言葉を話してくる。

 しかもこの子猫たちは、ほんの少し前まで確かに人間だったんだ。

 こ、こんな光景を見せられたら、さすがに……。


「う、うん、信じます……」


 神社に伝わっていた話なんて小馬鹿にしていた私だって、信じざるを得ない。


「おお……! これはまさしく猫神候補様だ! なんと縁起がいい!」

「まあ。まさか本当にこんな日が来るなんてねえ」


 涙を流しながら感激しているお父さんの隣で、マイペースなお母さんはのんびりとそう言った。

 反応は違えど、ふたりとも白亜と黒霧の話を信じているみたいだった。

 猫神候補のふたりはもう一度宙がえりをして人間の姿に戻ると、ふたりして私に詰め寄ってきた。


「というわけでさ。黄金の猫じゃらし、俺にくれない?」

「いや俺によこせ」

「え、えーと……」