白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

「なんだよお前、巫女のくせに。猫神候補様なんだぞ、俺たちは」

「……好きで巫女やってるわけじゃないもん」

「まあまあ、ふたりとも。よし、それじゃあこれなら信じてくれるかな?」


 そう言うと、白亜はその場でいきなりバク宙をした。

 え? 

 急に何なの!?

 ってかすごい!

 と驚いた私だったが、その一瞬後にもっと驚くことになった。


「え、え……。猫ーーーー!?」


 バク宙をした白亜が空中を回っている間に「ボン」という変な音がしたかと思うと、姿を変えたのだ。

 そう、飛ぶ前は人間の男の子の姿だったのに、着地の瞬間はなんと猫の姿に。

 しかもその猫は――。


「わ、私がさっき拾った白い子猫じゃないの!」

「うん、そうだよ。だから言ったじゃないか。寝床とご飯をありがとうってさ」


 子猫の姿のまま、かわいらしい瞳を私に向けて白亜が言う。


「え、いや、確かに言ってたけどさ! だけど人間が、ね、猫に……!」

「なんだ、往生際の悪い奴だな」


 ありえない光景を見せられて、まだ現実を受け入れられない私に向かって、黒霧が呆れたように言うと――。